こんな感じで患者さんから入れ歯の不満を訴えられたら困ってしまいます。
患者さんは嘘を言っているのではなく、実際に噛めないのでしょう。
「食欲が無くなった」
「体重がどんどん減ってズボンがブカブカになった」
「なんとかしてよ、この入れ歯は65点ぐらいだな」
現実にそうだから患者さんにとっては精いっぱいの訴えでしょう。
一般的に女性は情緒的に、男性は論理的に表現されます。
こんなときは急がずに筋道を立てて患者さんの話を聞くことです。
大抵は、いくつかの原因が重なって回り回って一つの結果が生まれます。
急いではいけません。
「前歯が気に入らないから自宅では殆ど外している」
「どことなく締め付けられて痛くて噛みしめられない」
「長年、噛めなかったから咀嚼筋に力が入らない」
「噛む位置が定まらないから どこで噛んで良いのかわからない」
「塊の食物なら噛みやすいが、生野菜がどうしても食べにくい」
患者さんは、入れ歯の内面に入れ歯安定剤をつけているだけではなく、ガーゼを床の内面において噛み合わせを上げていたそうです。
このことから、悩みの原因が、噛み合わせが低くなったことであることがわかりました。
治療手順は、噛み合わせを3回に分けて少しずつ高く修正しながらリハビリ調整をました。一度に変えてしまうと顎が疲れてしまうからです。
3か月後、「食事が美味しくなってきたよ。この入れ歯85点、合格点かな」
そろそろ、本入れ歯の製作を始めて患者さんの採点を90点台まで引き上げたいと思っています。
昨日まで噛めなかった人が、入れ歯が合って噛めるようになった時
若さを取り戻した自信などによって 次回来院した時には、目の色が全く違ってきます。
どんよりした目付が、急に生き生きした目付になってきます。
そんな患者さんの喜びがあさひクリニックのスタッフの喜びでもあります。
2015-01-19