A.お母様は、入れ歯のお手入れがきちんとできる環境にありましたか?
もし、入れ歯のお手入れがきちんとできていなかった場合、入れ歯に付着した”デンチャープラーク”を誤嚥してしまったことで、誤嚥性肺炎になってしまった可能性が高くなります。
“デンチャープラーク”とは、入れ歯(デンチャー)に付着した歯垢(プラーク)のことを言います。お口の中同様、食べカスや磨き残しは時間が経つとプラークになります。プラークは白くてネバネバしており、細菌の塊です。このプラークが酸や毒素を出すことで、虫歯になったり歯周病になったりします。
そんなプラークは、入れ歯にも付着します。
食事の後には入れ歯を外してブラシで洗ったり、寝ている間に洗浄液に浸したり、というお手入れを怠ってしまうとデンチャープラークはどんどん増えていきます。
入れ歯はプラスチックや金属でできていますが、デンチャープラークはプラスチックを劣化させ、金属を腐食させます。劣化したプラスチックや腐食した金属には、更にデンチャープラークが付きやすくなってしまう為、お口の中の細菌の数がどんどん増えてしまいます。また、デンチャープラークには、プラークと比べてカビ菌(カンジダ菌)の数が多いことがわかっています。
誤嚥性肺炎には二つの種類があります。
一つは、嘔吐に伴い胃の内容物を誤嚥してしまうことで起きる”化学的肺炎”。
もう一つは、口腔内の細菌を誤嚥してしまうことで起きる”細菌性肺炎”です。
デンチャープラークが入れ歯にたくさん付着していた場合は、この”細菌性肺炎”が疑われます。
免疫抵抗力の低下した高齢者が、デンチャープラークや細菌を多く含んだ唾液を誤嚥し、菌が肺の中で増殖することで発症してしまいます。
このデンチャープラークが入れ歯に付着してしまうのを防ぐには、毎日の食後や寝る前などにきちんと入れ歯の汚れを落としてあげることが大切です。
ご自身でケアするのが難しい場合は、ご家族や介助者がきちんと理解し、「どうせ入れ歯だから・・・」と侮らず、しっかりケアしてあげましょう。
2016-06-16