A.「固まるまで我慢してください。すぐに固まりますからね」
「顎を動かさないでね。もうすぐですよ」
こんな声を診療室でよく耳にします。
歯科の治療に不慣れな方や嘔吐反射(吐き気)の強い方にとっては口の中の型取りは大仕事です。
中には、型取りの材料が硬化するまでの間、鼻からの呼吸ができずに、呼吸を止めて目を白黒させている方もいます。
多く歯科で使われている型取りの材料は、アルギン酸印象材です。
粉末のアルギン酸印象材をラバーボールで水と混和し、患者さんに合わせたトレーにのせて、口の中に入れて型を取ります。
「固まるまで待ってください」と先生や衛生士さんに言われても、患者さんは何分で固まるか知らないのです。
同じ、アルギン酸印象材でも季節や気温によって硬化時間が違います。
夏場は1~2分と、硬化が早く、操作時間が短くなるため、冷水で練って硬化を遅くします。
また、冬場は3分以上と、硬化が遅いので、ぬるま湯で練って硬化を速めています。
あくまでも目安ですが、2分前後で硬化しますので。ゆっくりと「一、二、三・・・」と百まで数えてください。数え終えたぐらいでトレーを外します。
夏場など、操作時間が短いことで、「口開けて、顎動かさないで」と先生が怒っているように聞こえるのはそのためです。
型取りの材料もその目的によって様々です。
特に精密な型取りには、シリコン印象材を使用しますが硬化時間は3~5分と長くなります。
2016-06-16