A.今、お使いになっている入れ歯の形状を見てみましょう。
何本かご自分の歯が残った部分入れ歯ですか?
それとも、全部の歯が無くなった総入れ歯ですか?
部分入れ歯の方は、どうしても、ご自分の残った歯で噛もうとしています。
入れ歯の歯よりも自分の歯の方が噛みやすいからです。
患者さんによっては、噛みやすいところを捜して噛んで、無理な片噛みになり、片噛みは、噛み合わせるために、かなり無理に顎をずらし、突き出した噛み方をしています。
食事中のあごの動きは、切ったり、押し潰したり、磨りつぶしたりと複雑な動きをしています。
食べ物を噛んだ時の入れ歯に加わる力(咬合力)も左右上下均等に加わっている訳ではありません。
右で噛めば右に、左で噛めば左に力は集中します。
同じ硬さ、同じ大きさの食材を左右同時に噛むことができれば、バランスを保てますが、なかなか難しいのです。
部分入れ歯の方は、ご自分の歯と同じように、部分入れ歯でも噛むことを心がけてください。
入れ歯に無理なく均等に力が加わることで、食物がスムーズに入れ歯の歯の上に運ばれ、噛みつぶすことができます。
総入れ歯の方は、前歯で、頬張るように食べると、緩んだり、外れやすくなります。
その原因は、入れ歯全体を食物が包んでしまうことや入れ歯に食物が張り付いてしまうことで前歯に力が集中してしまい、入れ歯の喉に近い部分が持ち上がり、すき間ができて、空気が入り込み、入れ歯の吸着力が失われるからです。
そんな時は、食べ物を奥歯の方に運べる大きさまで小さく切ってから、口に入れるようにすれば外れずに食べることができます。
入れ歯の構造は理解し、上手に使いこなすことで、入れ歯のバランスが保もたれ、美味しく食事をすることができるのです。
2015-10-21