72歳の男性の患者さんに、1週間前に装着した
上下の治療用入れ歯の総入れ歯について、使い心地をレポートして頂きました。
患者さんなりに文章にまとめてくださいました。
かなり、感覚的な表現になっていましたが、私なりの解釈と疑問を記します。
<体験レポート>
「入れ歯の状況」
上顎の入れ歯
入れ歯の底面全体が上顎にピタッと張り付いていない様な感覚
<コメント>
上顎の入れ歯が歯ぐきと接する内面全体の装着感が物足りないようです。
それは、以前に使用していた入れ歯に比べてなのだろうか?
患者さんの考える「ピタッ」の感じは?
<体験レポート>
(両サイド部分が張り付いていないような感覚)がし、食べている時に、はずれ落ちるような感覚に襲われる(実際には落ちてこない)
<コメント>
両サイドに限定しているのは、入れ歯の頬側部の外形が特に長く感じているのだろうか?それとも入れ歯の辺縁が肉厚なのか?
奥歯の噛み合わせが高く、しっかりとした力が入らないのか?
入れ歯が動かされることによって、入れ歯の陰圧(ガラス坂2枚の間に水を含ませ重ねることで生じる力)が急に失われ、不安になるのだろうか?
以前に患者さんが入れ歯安定剤を使用していて物足りなさを感じるのだろうか?
<体験レポート>
この感覚に、入れ歯の奥行きが若干長くて、
末端が喉に近く、喉に近い場所で圧迫感と刺激があり、
若干の気持ち悪さと喋りにくさ感からくるのかもしれない。
<コメント>
以前の入れ歯より治療用入れ歯の後縁は、喉に近い口蓋まで覆っている
しかし、入れ歯を安定させるためには、不可欠な大きさである。トレーニングをしていかなければならない
嘔吐反射は、治療用入れ歯の口蓋の大きさ、厚みが影響し、話ずらさは入れ歯の歯並びの位置が狭くなったことが関係している。
「上顎の入れ歯の適合があまり感じられないが、入れ歯を大きくすると吐き気がするのではないか」と心配している。「入れ歯の安定と装着感」の両立が課題のようだ。
<体験レポート>
下顎の入れ歯
笑ったり、口を大きめに開けて物を口に入れようとすると浮き上がってしまう
口角を横に開いた状態で口を少し大きめに開いた時や奥歯で物を噛み締めようとした時に浮き上がる様だ。
奥歯の方が前歯の方より一瞬早く浮き上がり、その直後前歯の方が浮き上がる感じ。
(そのため奥歯で噛んでいる時、下歯の奥歯の方が浮いたり沈んだりしている。
特に堅い物を強めに噛んでいるとき)
<コメント>
要するに下顎の入れ歯が緩いことである。入れ歯を支える顎堤がなく浮き上がってしまう。
患者さんの苦労が伝わってくる表現である。
長年、緩い入れ歯とのつきあいから、下顎の入れ歯を下唇で安定させようと常に緊張させる癖がついているのではないだろうか、開口時に下顎の頬側の大きさが以前の入れ歯よりも長くなり奥歯からの吸着が失われるのだろう。
一度、吸着がなくなるとゴムボールと同じで強く噛めば噛むほど反発が大きくなる。
<体験レポート>
口腔内の空間が若干狭く感じ咀嚼している物を舌で回しづらい。
また、咀嚼している物が歯と頬の間に多く入り込む。
<コメント>
入れ歯の歯並びが上顎同様、以前の入れ歯よりも内側に並べられているのだろうか?
しかし、入れ歯の歯並びを外側に広げることで頬側に咀嚼した食物がこぼれ落ちることが
防げるかもしれないが下顎の入れ歯の安定が得られるだろうか?
「下顎の入れ歯の最大の問題は緩いということです」
幸いに、入れ歯での痛くはなく、食事も良く食べられたようです。
入れ歯の問題を解決する方法は治療用入れ歯の段階で、
しっかりと本入れ歯の最終形を導き出さなければなりません。
現状での患者さんの対処法も書かれていました。
<体験レポート>
○現在どのように対処しているか
口をあまり開けないようにして物を口に入れている。
口角を横に開いて噛もうとすると浮いてしまうので、口角をなるべく横に開かないよう
に調整しながら噛んでいる(奥歯に力を入れづらい)
<まとめ>
患者さんが入れ歯をどの様に感じ使われているのかを改めて知ることができました。
診療室では、技工士が患者さんの本音を聞き出すことができません。
このレポートを書かれた患者さんの気持ちを技工士として理解し入れ歯作りに反映させて
いきます。
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2015-04-10