マグネット入れ歯は、マグネットの吸着力で安定させる入れ歯です。
60代女性でマグネット入れ歯をお使いの患者さんが急患で来院されました。
上顎の総入れ歯には4本のマグネットが付いています。
左右に2本ずつ、マグネットに利用できるご自分の歯があります。
バランスよく、入れ歯にマグネットの吸着力が生かされています。
患者さん「また、マグネット取れました。この前とは違う所、これで何回目」
ご立腹のご様子です。
患者さん「マグネットって、こんなに簡単に取れてしまう物なの!!マグネットにしなければ良かった」
この患者さんの入れ歯のマグネットが何度も外れてしまうのです。
マグネット入れ歯で、そんなに頻繁に外れる患者さんは他にはいません。
なぜ、その患者さんの入れ歯のマグネットが外れるのでしょう。
付け直しても5日後に外れたことがありました。
1年間で6回も次々に外れて、今回で7回目です。
入れ歯とマグネットは差し歯の合着にも使われる強力な接着剤です。
マグネットは、入れ歯の内面の金属製のハウジングと接着されています。
私も、診療室に呼ばれて、原因を究明することになりました。
マグネットの脱離の原因は、マグネットの接着だけではありません。
噛み合わせが安定しないと入れ歯が揺さぶられマグネットが付いたり外れたりします。
繰り返していると、マグネットの吸着力がマグネット自体を脱離させる力にもなります。
あさひクリニックには、噛み合わせの専門医がいます。
入れ歯の噛み合わせを確認しました。
専門医「噛み合わせが良くできた入れ歯です。問題ありません」
患者さん「食事中に入れ歯が、ガタついたり、外れたことはありません」
それでは、マグネットの脱離の原因は?
患者さんは、元キャビンアテンダントをされていました。
現在は、香水の販売のお仕事をしています。
入れ歯に付いた臭いには、特に敏感で入れ歯に鼻を近づけて、確認しています。
入れ歯洗浄剤での洗浄を欠かしたことはありません。
ある時、熱いお湯に入れ歯洗浄剤を入れてから、入れ歯を洗浄してみました。
いつもより、臭いがすっきりとれたような気がしました。
それ以来、お湯を使っての入れ歯の洗浄を続けていました
それはマグネットが外れるようになった時期と重なりました。
金属と接着剤とでは、熱膨張が違います。
熱湯に入れるたび、金属と接着剤の間に隙間ができてしまい緩んで、
マグネットが順番に脱離していたのです。
入れ歯を熱湯に入れてはいけません。
入れ歯洗浄剤を使用する水の適温は、水道水の温度です。
患者さんへの入れ歯の取り扱い方の説明が足りなかったのでしょうか
もっと、患者さんの生活環境の変化や職業についての情報を得て
入れ歯を作ることができていれば、防止できたのでしょうか
いくら、診療室で強度を十分考慮した入れ歯を作り調整が済んだとしても
入れ歯のトラブルは必ず診療室の外で起こるのです。
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2015-03-30